豊橋市の精神科の可知記念病院です。
新型コロナウィルス(オミクロンBA.5)に関する情報
今回のblogは医局の担当です。
皆様の参考となるように、新型コロナウィルス(オミクロンBA.5)について最近の情報をまとめてみました。
- 新型コロナワクチンの3回接種による入院予防効果はBA.2で93%，BA.5で77%，死亡予防効果はBA.2で94%，BA.5で88%であった
ポルトガルで2022年4月25日から6月10日の間に、オミクロンBA.2/BA.5 系統に感染した計27702名に対するワクチンの有効性を比較した。BA.5はBA.2に比べて効果は劣るが、新型コロナワクチンの3回接種により重症化リスクが軽減することが示唆された。BA.5系統は、ワクチン接種状況に関係なく、オミクロンBA.2と比較して再感染の可能性が高いことも示された。
(MedRxiv. Jul 25, 2022)
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.07.25.22277996v1
- 4回目のワクチン接種を行うと、3回接種と比べて症候性感染のリスクを37%減少させた
イスラエルの医療従事者608人を対象とし、ファイザーワクチンを3回または4回接種した人の間で比較が行われた。365人が3回、243人が4回の接種を受けており、90日間の追跡で239人(39％)が感染し、そのうち3回接種が165/365人(45％)、4回接種が74/243人(30％)であった。つまり4回接種は3回接種と比較して、30日目で45%、すべての追跡期間で37%、感染率を減少させた。
(MedRxiv. Jul 16, 2022)
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.07.16.22277626v2
- 新型コロナウイルス感染後の心筋梗塞および脳梗塞のリスクは新型コロナワクチン未接種者に比して接種者では5〜6割少なかった
新型コロナウイルス感染後の心筋梗塞および脳梗塞の発生率の増加は、血栓症のリスク増加に関連していることがこれまでの研究で示唆されていた。ワクチン接種を受けていない患者とワクチンを接種された患者での心筋梗塞および脳梗塞の発生率は 1,000,000 人日当たり 6.18 対 5.49 であった。調整されたリスクは心筋梗塞 (aHR、0.48; 95% CI、0.25-0.94) と脳梗塞 (aHR、0.40; 95% CI、0.26-0.63) の両方でワクチン接種された患者で有意に低かった。
(JAMA Jul 22, 2022)
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2794753
- 新型コロナワクチン(mRNA)を5〜15歳に接種した場合の有害事象は、年齢が低いほど少なく、医療受診を要したものが0.3%、日常生活に影響が出たものが7%、心筋炎・心膜炎はゼロであった
オーストラリアで2021年7月から2022年5月の間に新型コロナワクチンを受けた5歳から15歳の子供の調査回答(392,268件)を分析した。有害事象の発生率は、すべてのワクチン接種後、1 回目の投与に比べて 2回目と3回目の投与で高くなった。5歳の子供が発熱した割合は少なかった(4%)。医療機関を受診した割合は低く (全体で 0.3%)、日常生活への影響も少なかった (全体で 7%)。心筋炎または心膜炎の自己申告症例は確認できなかった。
(MedRxiv. Jul 19, 2022)
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.07.19.22277827v1
- 5〜11歳の新型コロナワクチン（ファイザー製）の2回接種による予防効果は、PCR陽性の感染に対して65.3%、入院に対して82.7%であった
シンガポールにおいて2022年1月21日から2022年4月8日までの合計255,936人の子供が分析に含まれた。ワクチン接種を受けた子供の予防効果は、すべての新型コロナウイルス感染症に対して 36.8% (95% CI、35.3～38.2)、PCRで確認された 新型コロナウイルス感染症に対して65.3% (95% CI、62.0～68.3)、新型コロナウイルス感染症関連の入院に対して82.7% (95% CI、74.8 ～88.2)であった。
(N Engl J Med Jul 20, 2022)
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2203209
- 基礎疾患に癌を有する場合は新型コロナウイルス感染症による死亡リスクが2.26倍であった
709,908人の参加者と 31,732人のがん患者を含む合計58の研究のメタアナリシスを実施した。分析の結果、新型コロナウイルス感染症によるがん患者の死亡率(RR = 2.26、95% CI、1.94–2.62)と ICU入院率(RR = 1.45、95% CI、1.28–1.64）が有意に高いことを示した。
(J Cancer Res Clin Oncol Jul 13, 2022)
https://link.springer.com/article/10.1007/s00432-022-04191-y
