豊橋市の精神科の可知記念病院です。
今回のブログは医局が担当します。

片頭痛(偏頭痛)

頭痛が悩みという方は多いです。その中で、片頭痛という言葉を、診療や日常会話の中で割とよく耳にします。でも片頭痛の正しい意味はあまり知られてないようにも思います。

まず片頭痛というのは、症候群です。症候群とは、共通の病態を示す患者さんが多い時に(原因は基本的に不明)そのような症状の集まりに名前をつけて、対象として扱おうというものです。精神科で言うと、統合失調症も症候群です。同じ症状の傾向を持つ集まりですが、病態が解明された時には様々な疾患が混ざっている可能性が高いです。

さて、片頭痛に戻りますが、どのような共通の状態を持っているのでしょう?国際頭痛学会の“POUND”という基準などもありますが、ざっくり言えば、
・視界がチカチカして、時には歯車が見えたり欠けたりする
・光がまぶしい、音が怖い、そうした刺激で頭痛が悪化する
・血管がドクンドクンと脈打つ感じがする
・腹痛や吐き気、嘔吐がある
・また3分の1くらいの方には、「前兆」と呼ばれる、視覚や嗅覚の異常が先立ち、「もうすぐ始まる」と感じたりする

上記の症状が複数あるものが片頭痛と呼ばれることになります。いかがでしょうか。片頭痛のイメージがすこし変わった!という感想を持たれるかも知れません。つまるところ片頭痛とは、腹痛や吐き気といった消化器症状までも現れることがある、神経学的な症候群なのです。「片」の名前の由来のように片側に4時間から3日間(長い!)、拍動する頭痛が現れるのが典型例ですが、実は両側に現れることも珍しくありません。

主に脳神経内科/外科で診断と薬物治療が行われますが、精神科の多くの病気と同じく症候群であることから、全ての方をすっきり治療するのが難しいのも事実です。

傾聴や生活のアドバイスなど、少しでも片頭痛の症状を緩和することができたらいいなぁ、と思って精神科の診察をしています。