こころの病を扱った映画

今回のblogは医局の担当です。
こころの病を扱った映画は多くありますが、その中でおすすめできるものをいくつか紹介したいと思います。

ビューティフル・マインド

実在したアメリカの数学者であるジョン・ナッシュをモデルにした映画です。彼は優秀な数学者でしたが統合失調症を患い「共産主義の陰謀が広がっている」などの被害妄想に支配されるようになりました。統合失調症は軽快、再燃を繰り返しましたが、1990年頃より精神病症状は目立たなくなり、これまでの業績が評価されノーベル経済学賞を受賞することになります。実話に基づいていることと、病を克服して偉業をなしとげたという点で好きな映画です。

シャイン

実在したオーストラリア人のピアニストであるデビット・ベルフゴッドの人生を基にした映画です。彼はピアニストとして周囲から期待をかけられていましたが、徐々に思考や感情面での障害が表に出てきます。心が悲鳴を上げているような「熊蜂の飛行」などの演奏シーンが印象的です。最終的には彼を苦しめていた音楽に逆に救われることになり、彼の純粋さに惹かれた女性と結ばれ映画は幕を閉じます。

プライベート・ライアン

巨匠スピルバーグが監督した、アカデミー賞を5部門も受賞した大作です。こころの病を直接扱った映画ではないのですが、ストレス障害で現れるフラッシュバック、離人感、視野狭窄、解離症状などの精神症状が、高い映像技術の力を借りてよく表現されていると思います。リアルな戦争としての残酷なシーンも多いので、苦手な人もいるかもしれません。

男が女を愛する時

アルコール依存症を扱った、若き日のメグ・ライアンが主演の映画です。作中で結婚し幸せな家庭を築くかと思われましたが、パイロットである夫は家を空けることが多く、次第に孤独を紛らわすために酒におぼれるようになります。夫とのすれ違いの中で、様々な葛藤が表面化し、家庭は崩壊してしまいます。紆余曲折を経て、夫婦ともども自身の弱さを受け入れ、アルコール依存症と向き合うところで映画は終わります。

17歳のカルテ

精神病院が舞台のパーソナリティ障害を扱った映画です。主演のウィノナ・ライダーは自らも境界性パーソナリティ障害で精神科に入院歴があるそうです。情緒不安定で激しいパーソナリティを演じた若きアンジェリーナ・ジョリーも評価されましたが、本人は後日、難しい演技ではなかったと述べていたそうです。もしかしたら演技ではなく、素の部分もあったのかもしれません。