豊橋にある精神科の可知記念病院です。本日のブログは医局が担当します。
慢性疼痛について:その13
慢性疼痛への薬剤についてこれまで主なものを述べてきました。その他の薬剤では、疼痛の慢性化に寄与するグルタミン酸受容体(特にNMDA受容体とAMPA受容体)や種々のイオンチャネルをターゲットにすることが理論上は適していると考えられます。そのため、これらの作用を有している抗てんかん薬がいくつかトライされてもいいでしょう。例えば、脳卒中後の中枢性疼痛ではラモトリギンが有効であることが示されており(Adv Ther. 2020 Jul;37(7):3278–3291.)、CRPS type Iにペランパネルが奏効したという症例報告もあります(Medicine (Baltimore). 2021 Dec 3;100(48):e27791.)。NMDA受容体を阻害するメマンチンは効いてもよさそうですが、報告によって結果はバラバラ(Eur J Pain. 2019 Aug;23(7):1234–1250.)。メマンチンはシナプス内よりもシナプス外のNMDA受容体を好んで阻害するので、そこがスッキリとした結果を産まないのかもしれませんね。代表的なNMDA阻害薬であり他にも様々な作用機序を有するデキストロメトルファンはいくつか試験があるものの、サンプルサイズや用量のバラツキの問題ではっきりとしたことは言えないようです(CNS Drugs. 2019 Apr;33(4):347–374.)。