豊橋市の精神科の可知記念病院です。
本日のブログは薬剤部が担当いたします。

便秘薬(下剤)

今回は便秘薬(下剤)をテーマにしたいと思います。
朝起きてスムーズに排便があればその日を快適に過ごせる気がするのは私だけではないはずです。加齢に伴う様々な身体機能の低下から高齢者は便秘になりがちです。医療現場では、排便コントロールのために下剤がよく使用されています。統計をとったことはないですが、当院においても入院外来問わずさまざまな種類の下剤が使用されています。精神科においては、抗コリン作用を有する薬剤を服薬される患者さんが多いこともあって排便コントロールは欠かせないテーマです。
これまでの便秘薬のツートップとしてあげられる2成分は、便の水分を増す酸化マグネシウムと腸を刺激して活性化する植物成分のセンナです。
酸化マグネシウムは近年高マグネシウム血症に関する注意喚起がなされ、2015年10月から高齢者には慎重投与となりました。定期的に血清マグネシウム値を測定する必要があります。高マグネシウム血症の初期症状には吐き気、嘔吐、立ちくらみ、めまい、徐脈、傾眠などがあり、これらの症状を認めたら内服を中止して医療機関を受診するのが好ましいです。
市販薬(OTC)の便秘治療薬の連続使用も7日以内に止めることがいいとされています。特に酸化マグネシウムは、高齢者では副作用があらわれやすいので注意が必要です。またセンナなどセンノシドを含む刺激性便秘薬は即効性があるためよく使用されますが、習慣性があるうえに長期連用すると耐性が生じることがあります。ガイドラインでも頓用または短期間の使用が薦められています。
新しい便秘薬として2012年に発売されたルビプロストン(商品名:アミティーザ)、2017年にリナクロリド(商品名:リンゼス)、2018年にはエロビキシバット(商品名:グーフィス)など立て続けに発売されました。その後、リンゼスは慢性便秘症の適応も追加されました。水分摂取や食事量、食物繊維の積極的な摂取、運動などの基本的な生活習慣改善も便秘改善にはとても大事なことです。いろいろ試して最終手段として便秘薬(下剤)を使用するのが好ましい形といえます。補足として排便する際には前屈み姿勢になるのも排便を促す姿勢としておススメできるポイントになります。