精神疾患・精神保健福祉の歴史(日本編③)

豊橋市の精神科の可知記念病院です。
今回は医療相談室が担当します。

精神疾患および精神保健福祉の歴史(日本編③)

精神障害者に対する取り扱いについては、都道府県ごとの規定はあったものの、全国的なものはなく、全国統一的な法律が必要とされるようになります。
そのような流れで精神病者監護法案が提出されたのですが、“精神障害者が社会に悪影響を与えることは大きく、保護することで社会に悪影響を流すことがないようにする“といった治安維持のための法律の色が強いものでした。
施行された精神病者監護法は、精神病者の監護義務者(配偶者や親といった親族、親族が居なければ、市町村長)を定めるとともに、精神病者を私宅あるいは精神病院、精神病室に監置するという手続きを警察を経由して行政庁の許可を得ることを定めていました。
また、費用に関しては、被監護義務者、扶養義務者の負担とされていました。
しかし、精神病院への収容等は、座敷牢を設けて収容することが不可能な場合にのみなされることになっていました。
本人の保護、社会の保護を目的とされていた法律だったはずなのに、実際は私宅監置を合法化し、公私病院の精神病室の管理を警察の所管にするというもの。
精神病者の治療・保護に重点を置くものではなく、社会の悪影響とならないように監置/管理することに重点をおき、それを合法化したものと言えます。
そして、1950年の精神衛生法が制定されるまでの50年間、一度も改正されることもなく存在し続けていきます。

続きは次回、医療相談室ブログで紹介します。