本日のブログは歯科が担当いたします。
今回は歯科が担当します。
高血圧症とそのお薬
前回に続き、今回も【高血圧症とそのお薬】についてお話します。
歯科では診療申込書という用紙に持病や服薬について記入をお願いしています。病気やお薬によっては、歯科が知らないまま治療を進めてしまうと、生命の危険が生じたり、治療後に痛みや腫れが続いたり、治りが悪くなったりと、患者さんが苦しい思いをされることがあります。
- 高血圧症とはどのような病気なのでしょうか?
『血管にかかる「圧力」が高い状態です』
私たちのからだのなかでは、心臓から全身へと血液が送り出されています。このとき血管の壁にかかる圧力を「血圧」といいます。血圧が高いと、ホース内を勢いよく水が流れるように、血管にかかる血液の圧力が大きくなります。
『脳や心臓への負担になります』
血管にかかる圧力が大きい状態をそのままにしておくと、脳や心臓への負担となります。高血圧症は脳卒中や心筋梗塞、心不全の最大のリスクです。脳の血管が破れると、脳出血やくも膜下出血を起こし、最悪死に至ります。
- お薬の目的と作用は?
『血管にかかる圧力を下げます』
高血圧症のかたが飲んでいるお薬は「降圧薬」といいます。降圧薬にはいろいろな種類があり、それぞれ作用のしかたも違いますが、その目的は同じで「血管にかかる圧力を下げる」ことです。たとえばカルシウム拮抗薬は、血管の収縮を抑えて血液の通り道を広くすることで、血管にかかる圧力を下げる働きがあります。
- 歯科治療との関係は?
『白衣性高血圧』
血圧は痛みやストレスを感じると高くなります。歯科のチェアに横たわったときや、麻酔の注射をするとき、抜歯の治療を受けるときは緊張しますよね。このときからだはストレスを感じて、血圧が上がっています。これは普段血圧が高くないかたにも起こる現象で、「白衣性高血圧」と呼ばれます。
『高血圧脳症』
高血圧症のかたは、治療時の緊張でさらに血圧が上がります。血圧が上がると心臓がドキドキしますが、怖いのは脳の血管への影響です。内圧が上がりパンパンになった血管が破れ、脳出血(高血圧脳症)を起こしてしまうことがあるのです。こうなると救急搬送が必要となります。
- 歯科からのお願い
『必ずお薬について教えてください』
万一のトラブルを避けるため、高血圧症のかた、お薬を飲んでいるかたは、必ずお伝えください。通常通りお薬を服用することもお忘れなく。
『ご体調を見ながら治療を進めます』
チェアに上がったときや麻酔の注射をするとき、実際に抜歯などの外科治療をするときなどに、血圧計で血圧を測りながら進めていきます。緊張により血圧が上昇しているようなら、すぐに処置をおこなうのではなく、落ち着くまで時間をおきます。急ぐ治療でなければ、治療を延期させていただくこともあります。(参考文献:nico 2022.06)
- さいごに
日本人の高血圧の最大の原因は、食塩のとりすぎです。若年・中年の男性では、肥満が原因の高血圧も増えています。飲酒、運動不足も高血圧の原因です。高血圧は喫煙と並んで、日本人にとって最大の生活習慣病リスク要因です。
食生活では全体的に薄味にしましょう。野菜や果物、大豆製品に豊富に含まれるカリウムには腎臓から食塩を排泄しやすくする働きがあります。また、カルシウムにも血圧を安定させる効果があります。これらを組み合わせ、無理のない減塩を長く心がけることが高血圧予防につながります。(厚生労働省 e-ヘルスネット)
~当院は、入院患者さんや通院患者さんはもちろんのこと、歯科のみの受診も可能です~