このたび、令和7年4月1日より院長に就任いたしました。
私は消化器内科医として、長年にわたり地域の急性期病院で勤務してまいりました。急性期医療の現場では、刻一刻と変化する病態に対応しながら、患者さまの命と生活の質(QOL)を守るために日々奮闘する中で、医療に携わる責任の重さと意義を強く実感してまいりました。
そうした中でこのたびご縁をいただき、精神科医療の中核的役割を担う可知記念病院の院長として、新たな一歩を踏み出すこととなりました。超高齢化が進むわが国において、精神科領域であっても例外ではありません。歳を重ねるにつれ、身体疾患、歯科疾患の合併が多くなります。質の高い精神科医療のためには、精神疾患に対する治療のみではなく、内科疾患への対応や歯科治療も必要となってきます。精神医療を身体医療と同様に「地域で支える基盤」として再構築する必要がある今、外の視点を持つ私の経験が、医療の幅と奥行きを広げる一助になればと願っております。
精神科医療は今、医療計画の中でもいくつかの重要な課題が指摘されています。急性期精神疾患への対応力の不足、地域移行支援の体制不備、認知症を含む高齢者精神医療の質と量の両面での遅れ、多職種連携の未成熟など、いずれも一朝一夕には解決できない複雑なテーマです。当院では、こうした課題に真正面から向き合い、実効性のある取り組みを継続しています。可知記念病院は、数少ない精神科スーパー救急対応病院として、統合失調症、双極性障害、重度うつ病などの急性増悪時に、24時間体制での受け入れを可能とする先進的な医療体制を整えています。また、地域の認知症診療センターとしても機能しており、単に診断を行うだけでなく、その後の生活支援、家族支援、介護との連携までを含めた包括的なケアに力を入れています。
精神疾患や認知症を抱える方が、自分らしくあり、自分らしさを取り戻し、孤立することなく、自分らしく地域で暮らし続けられるよう、私たちの病院がその一助となることを目指します。新たな挑戦となりますが、これまで培ってきた急性期医療の経験や、多職種連携のマネジメント、地域医療への視点を生かし、可知記念病院のさらなる発展に尽力してまいります。職員一人ひとりと丁寧に対話を重ね、誰にとってもあたたかく、安心できる病院づくりを進めてまいりますので、今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
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