理事長・院長あいさつ

「患者さんとご家族にとって一番良い形は何か」という考えを、最も大切にしています。

当院は、昭和41年に豊橋市弥生町で弥生可知病院として病床数21床・職員数15名でスタート致しました。その後、精神科医療に対する時代のニーズへの対応や病床数激増による病院用地不足などの課題を解決するため、平成15年に現在の豊橋市南大清水町の富士山が見える高台の自然あふれる場所へ移転をし、創立から50年が経過した現在は病床数591床・職員数430名の病院へと成長することが出来ました。これもひとえに患者さんを中心に当院と関わって頂きました多くの方々にお支え頂いたお陰と御礼申し上げます。これからの50年も感謝の気持ちを忘れることなく、地域の皆様と一緒に歩んで参ります。

さて、当院の病棟は、精神症状が悪化し集中的な治療が必要となった方・ストレス社会の中で少し疲れてしまい心を休めたい方などに対応する精神科救急急性期医療病棟、認知症治療病棟、精神療養病棟、精神一般病棟、内科療養病棟など10病棟を設置しており、充実した医局体制と病棟構成の中で東三河地域の精神科基幹病院として「質の高い医療」を提供しています。
また、私は女性の立場から、病院内を常に清潔に保つなど女性が快適に入院生活を送って頂ける「女性にやさしい病院づくり」にも取り組んでいます。
そして、退院後は当院職員が患者さんのご自宅へ訪問してケアを行う訪問看護や精神疾患の再発防止・社会復帰・対人関係の練習などを目的とした日帰りリハビリテーションとしてのデイケアなど、患者さんの人生全体をサポートする事業も実施しています。
医療の中でも特に精神科医療は「人と人とのつながり」が大切です。それを習得するためのスタッフ教育にも力を入れています。スキルアップ研修や勉強会を開催し、常に患者さんと真摯に向き合い、一緒に笑い一緒に泣いて、患者さん自身の回復力を最大限に高めて頂けるよう、職員一同誠心誠意のお手伝いをさせて頂きます。

当院では、最も大切にしている考え方があります。それは「患者さんとご家族にとって一番良い形は何か」ということです。既成概念や一般的なルールに捕らわれず、「この患者さんとこのご家族にとって一番良い形は何か」を常に考えて、最善の方法を提案して参ります。また、患者さんが元気になるためには、地域が元気でなければなりません。
地域の発展への寄与は医療法人の社会的責務と捉え、積極的に取り組んで参ります。

創立当時からの「患者さんの気持ちになり、社会的信用を裏切らない行為を行う病院」という病院経営方針にこれからもまっすぐに取り組み、東三河地域の皆様に「可知記念病院があって良かった」と思って頂ける様な病院運営を行って参ります。

医療法人義興会 可知記念病院
理事長

可知久充子

「精神科以外の症例にも対応できる精神病院」という特色は、40年以上前から脈々と受け継がれてきたものです。

平成26年(2014年)3月名古屋大学環境医学研究所を辞し、同年4月1日より当院院長に就任した村田善晴でございます。私は、内科医で内分泌学(特に甲状腺学)を専門としております。そんな私が「精神病院である当院の院長に何故?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思い、まずは私が院長職を任された経緯を簡単にご説明申し上げます。
私がこの病院と関わるようになったのは、今から43年も前になりますが、内科非常勤医として勤務したことが切っ掛けでした。この時は約1年間お世話になっただけだったのですが、当時の可知義興院長から何かと目を掛けて頂き、「将来はこの病院の常勤医として働いてくれないか」と頼まれたのを記憶しています。このことが自分の頭に残っていたのでしょうか、昭和59年、3年半に及ぶシカゴ留学を終えて名古屋大学に職を得た時、教授が用意してくれていたバイト先を断って、再び内科非常勤医として当院で働くこととなりました。以来、私が院長として赴任するまでの約30年間、ずっと当院にはお世話になってきましたし、病院の将来構想や診療体制にも様々な意見や助言を行ってまいりました。ですので、名古屋大学教員(以前は教官と呼ばれてきた)の定年が63歳から65歳に延長されましたが、「そろそろ、研究だけで生活できてきた」といういわば贅沢な環境から、100%臨床医として働いてみようと決心し、迷わず当院内科医常勤として勤務することを選択しました。同時に、院長として「病院の舵取り」も任された次第です。

私が最初に非常勤医として勤務するようになった約40年前の頃から、当院へは私以外にも様々な専門分野の非常勤医師達が毎日「日替わり」のように来て、身体合併症を有する精神科症例の診療に当たっていました。ですから、「精神科以外の症例にも対応できる精神病院」という当院の特色は、最近始まったことではなく、40年以上前から脈々と受け継がれてきたものです。特に、平成28年からは、長年豊橋市民病院で呼吸器内科医として診療に当たってこられた権田先生が常勤医として赴任してくださり、内科の診療体制もさらに強化されました。また、歯科も常勤医を中心とした診療体制が整っているのも当院の特色の1つで、入院患者さん達の口腔ケアも充実しています。その他、循環器内科、外科、泌尿器科の診療については非常勤の先生方に担当して頂いています。もちろん、「本業」である精神科診療体制も近年充実してきました。平成23年に名大精神科医局から桑原先生(現医局長)が常勤医として当院に赴任して以来、ほぼ毎年1人以上が当院精神科医局に入局するようになりました。さらに、名大精神科の「専攻医の研修コース」カリキュラムにある「週1.5日連携精神科病院勤務」の研修先として毎年のように若い精神科医が当院を選んでくれています。その結果、当院精神科医局は今泉副院長をはじめとするベテランから若手までバランスの取れた構成になっています。このような恵まれた人材を生かして、修正型電気痙攣療法やクロザリル投与といった、先進的治療法も導入してきました。また、地域の中核病院である、豊橋市民病院、国立豊橋医療センター、蒲郡市民病院、および渥美病院に「リエゾン精神医学」を担う精神科医を当院医局から派遣しております。これからもこれら地域中核病院のみならず、東三河地区の各病院、並びにメンタルクリニックなどと連携を取りながら、地域医療に貢献して行きたいと考えております。どうぞよろしくお願い致します。

医療法人義興会 可知記念病院
院長

村田善晴

略歴

昭和51年 (1976年)
金沢大学医学部卒業
昭和51年 (1976年)
国立名古屋病院内科研修医
昭和53年 (1978年)
静岡県遠州総合病院内科医員
昭和54年 (1979年)
浜松医科大学第三内科医員
昭和56年 (1981年)
シカゴ大学医学部リサーチアソシエート
指導者:Samuel Refetoff
昭和59年 (1984年)
名古屋大学環境医学研究所第2部門助手
平成4年 (1992年)
名古屋大学環境医学研究所内分泌・代謝分野助教授
平成9年 (1997年)
名古屋大学環境医学研究所発生・遺伝分野教授
平成26年 (2014年)
医療法人義興会 可知記念病院院長
名古屋大学名誉教授

学会等役員歴

平成20年4月〜24年3月
名古屋大学環境医学研究所 所長
2010年9月~2015年10月
President of Asia & Oceania Thyroid Association

賞・罰

平成3年(1991年)
日本甲状腺学会七条賞受賞
平成21年(2009年)
日本甲状腺学会三宅賞受賞