統合失調症の症状

今回の今回のblogは医局の担当です。

皆様の参考となるように、統合失調症の症状について簡潔にまとめてみました。

大きく陽性症状、陰性症状、認知機能障害に分けますが、厳密に区別できるわけではありません。個人差はあるものの、多くの場合、3つの症状全てが存在しています、初めは陽性症状が目立ちやすいですが、それが落ち着いてくると、陰性症状や認知機能障害がはっきりするというケースが多いです。

陽性症状

周囲の人が気付きやすい目立つ症状です。

  • 幻覚

実際にないものをあるように感じる症状です。聞こえるはずのない声が聞こえる「幻聴」や、存在しないはずのものが見える「幻視」、実際には存在していないものの味やにおいを感じる「幻味」「幻臭」などがあります。また「腸が解ける」などといった臓器などの奇妙な違和感(体感幻覚)もよく認めます。最も多いのが幻聴で、自分の頭の中をのぞいて直接話しかけてくるような声(悪口や命令が多い)や、複数の人が話し合っている声が聞こえます。多くの場合、強い不安や不快感を伴います。

  • 妄想

非現実的なことやあり得ないことなどを信じ込み、周囲が否定しても、その考えから離れられません。「自分のことを悪く言っている」「監視されている」などと思い込む被害妄想、周囲の人の言動がすべて自分に向けられたものだと確信する関係妄想、「自分に特別な能力がある」などと思い込む誇大妄想がよく現れます。

  • 行動の異常

激しく興奮して大声で叫んだり、逆に周囲からの刺激にまったく反応しなくなったりします(緊張病症状)。目的のない運動や無意味な言葉を繰り返す「常同症」や、芝居じみた挨拶や奇妙な身振りをする「衒奇症(げんきしょう)」、最初にとらされた姿勢をそのまま保ち続けようとする「カタレプシー」がみられることもあります。

陰性症状

陽性症状とは対照的に、周囲の人が気付きにくい症状であり、薬が効きにくく、進行すると社会生活を送ることが困難になります。

  • 感情の平板化

今までは自然に感じていた喜怒哀楽の感情が乏しくなり、ほとんど動かなくなる状態をいいます。例えば、身内などの親しい人が亡くなっても、「悲しい」という感情が生まれなかったりします。

  • 意欲の低下

これまで普通に行っていたことが面倒くさくなったり、やり方が分からなくなったり、興味や関心が失われて何も行動できなくなったりします。「服を着替えない」「風呂に入らない」「歯を磨かない」といった無為な状態になり、引きこもってしまう場合も多くあります。

認知機能障害

  • 自我意識の障害

自分自身と外の世界との境界が不明瞭となり、行動や考えを誰かに支配されているように感じます。自分の考えが他人に伝わってしまうと感じる「思考伝播」、他人の考えが吹き込まれていると感じる「思考吹込」、自分の考えを他人に吸い取られてしまうと感じる「思考奪取」などを認めます。実際に誰かに操られていると感じる「させられ体験」もよく認めます。

  • 思考の障害

考えにまとまりがなくなり、話が次々に脱線してつじつまが合わなくなったり、物事の段取りが分からなくなって簡単な手続きなどが難しくなったりします。進行すると、会話が支離滅裂になり、周囲の人は理解できなくなります。考えが急に中断されて、突然何も言葉が出てこなくなる「思考途絶」もしばしば認めます。