新型コロナウィルス(オミクロン株)の特徴

今回の今回のblogは医局の担当です。
皆様の参考となるように、新型コロナウィルス(オミクロン株)について最近の情報をまとめてみました。
日本国内ではオミクロン株が主流になりつつあり、感冒様の症状を認めることや、若年者の感染が目立ち、重症化率が下がってはいるものの一定数が重症化することが分かっています。

国内における新型コロナウィルスのゲノム解析では2022年1月17日時点でアルファ株0.6%、ベータ株0%、ガンマ株0%、デルタ株24.7%、オミクロン株74.7%の割合であった。つまり、国内ではオミクロン株が主流になりつつあるが、まだデルタ株が消失したわけではない。(感染症発生動向調査(IDWR))https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000887733.pdf

英国のZOE COVID study(スマホ・アプリによる大規模調査研究)で明らかになったオミクロン株感染の症状トップ5位は、鼻水、頭痛、疲労、くしゃみ、喉の痛みである。このためインフルエンザや風邪と似ているとされる。https://joinzoe.com/learn/omicron-symptom

オミクロン株はスパイク蛋白の変異数が35ほどと非常に多く、従来の変異株とはまったく異なるものである。なぜこの変異株ができたかについては2つの説があり、1つはHIVなどの免疫不全の宿主における感染である。もう1つは動物を宿主とし、まったく異なる進化を遂げて人間の集団に戻ってきた可能性がある。(JAMA Dec 6, 2021 ,Video)https://bit.ly/3EwXhpXdoi.org/10.1001/jama.2021.22619

オミクロン株はこれまでの株と違って中枢側の気管支に感染するため大人では軽症化しているが、子供ではこれが逆に悪化要因になっている。https://www.nbcnews.com/health/health-news/omicron-variant-kids-croup-cough-rcna11170

オミクロン株感染による入院は非オミクロン株の5分の1程度だが、入院患者の21%が重症化する。つまり、デルタ株感染者と比較して重症化率は低いが、一定数は重症化する。(Lancet. Jan 19, 2022)

南アフリカ第4波でのオミクロン株感染の特徴は、入院は少ないものの、若年層や併存疾患が少ない人の入院が目立ち、急性呼吸器症状が少なく、重症度と死亡率も低下していた。この違いがワクチンや感染による免疫の影響なのか、あるいはオミクロン株が以前の変異株よりも病原性が低いのかは不明である。(JAMA. Dec 30, 2021)

米国カリフォルニアにおいて、オミクロン株はデルタ株と比較して入院リスクは52%減少、重症例リスク74%減少、死亡リスク91%減少となっている。https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.01.11.22269045v1

国内3カ所の保健所の共同調査でオミクロン株に感染した場合、97%が5日内発症している。デルタ株でも調査されていて、95%が7日以内発症となっている。濃厚接触者の自宅待機期間を7日以内に短縮する方向で検討が進められている。https://www.asahi.com/articles/ASQ1W6FH5Q1WULBJ00K.html

オミクロン株感染者のうち無症状者のウイルス分離可能な症例は診断6日目以降に減少し、診断8日目以降にウイルス分離可能な症例は認めなかった。無症状者における感染性ウイルス排出の可能性は、診断6日目から8日目にかけて大きく減少していくことが示唆される。https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2484-idsc/10942-covid19-70.html