花粉症の薬と“眠気”について

今回のブログは薬剤部が担当します。
花粉症のシーズンとなりました。花粉症の薬は様々なものがあり、以前にその種類について解説したことがありました。

花粉症の薬と“眠気”について

今回は花粉症の薬と“眠気”について解説していきたいと思います。

花粉症の薬として代表的なものはアレジオンやアレグラなどの抗ヒスタミン剤があります。最近ではアレグラのような眠気がほとんど出ないものもありますが、全体としては眠気が出やすいというのが抗ヒスタミン剤の特徴になります。
抗ヒスタミン剤はアレルギー反応を起こすヒスタミンが作用する“受容体”をブロックすることで効果を発揮しますが、この受容体は脳内にもあり“集中力や判断力・覚醒の維持”などを司っています。
抗ヒスタミン剤は脳内にも移行するためこれらの働きを阻害してしまい、眠気を感じる（鈍脳）といった副作用が起こります。
※一部の抗ヒスタミン剤はこの副作用を利用して精神科分野で使用されるものもあります（ピレチアなど）

よく“眠気が強い薬は抗アレルギー効果も強い”と言った話がありますが、一概にそうとは言えません。眠気の出やすさは薬剤の脳内への移行具合で決まるため、抗アレルギー効果が高い薬でも脳内移行がしづらい薬であれば眠気が出にくく、先述したアレグラなどがそれに該当します。
この眠気の出やすさですが薬の説明文書である添付文書の“自動車運転や危険を伴う機械操作”に対する注意文によって3段階に分類することができます。段階は以下の通りになります。

注意記載なし（＝眠気はほとんどなし）

アレグラ・クラリチン・ビラノア・デザレックス

自動車運転や危険を伴う機械操作に注意（＝軽い眠気あり）

アレジオン・エバステル・タリオン

自動車運転や危険を伴う機械操作に従事させないよう注意（＝強い眠気あり）

ザジテン・ジルテック・ザイザル・アレロック・ルパフィン他多数

※太線の薬は同じ成分のものが市販薬として存在