病気不安症について:その2
愛知県豊橋市の精神科の可知記念病院です。
今回はのブログ医局が担当します。
前回は本症の導入を少しだけお話しました。
本症のリスクファクターはいくつか指摘されており、ACEs(Child Abuse Negl. 2014 Mar;38(3):407–413.)、身体疾患の既往歴や強い不安や破局的な疼痛の見方(Behav Cogn Psychother. 2023 Jan;51(1):11–20.)、などがあります。ただ、これが本症に特異的とはなかなか言えません。世代間伝達も見られることから、遺伝的な要因も指摘されます(Child Health Care. 2018;47(2):198–238.)。もちろん、そういう親の行動を見ることで、後天的に形成される場合もあるでしょう。個人的な意見ですが、明らかに身体や性に危害の加わる虐待を受けてきた人では身体症状症(特に疼痛関連)が多く、病気不安症はそれよりも常に不安な状況に置かれた生活を余儀なくされた人(ネグレクトなど)や小児期/青年期に身体疾患のケアを受けてきた人が印象的な事態に遭遇した際(健診で異常を指摘される、家族や知人が重篤な疾患に罹患する、COVID-19のニュースを度々目にする、など)に多く見られる様に思います。なお、小児期や青年期は健康に対する不安が顔を覗かせる時期ですが、その多くは診断基準に該当するレベルではないとされており(Psychosomatics. 2007;48(6):502–509. J Anxiety Disord. 2000;14(3):263–279.)、それに対して早期に介入することのメリットはまだ分かっていないようです。