豊橋にある精神科の可知記念病院です。本日のブログは医局が担当します。

病気不安症について:導入

DSM-IV-TRまでは心気症と呼ばれていたものの一部が病気不安症。COVID-19のパンデミック後に世界的に広く見かけるようになったため(PLoS ONE. 2020;15(7): e0236562.)、触れておきましょう。身体症状症と病気不安症の違いは、身体症状の程度の強さになります。この辺りがやや曖昧で、身体症状症と病気不安症を明確に分類する意義について疑問があるようです(Annu Rev Clin Psychol. 2014;10:339–367.)。なお、ICD-11では“心気症”の名前のまま強迫症または関連症群に入れていますが、これは健康に対する強い不安とそれを打ち消すための健康関連行動(頻回の病院受診など)が、まさに強迫ではないか!ということから。病気不安症の概念はまだまだ新しく、身体症状症との明確な違いがあるのか、まさに“不安症群”のグループに入れるべきかなどで今後の研究が待たれます。