豊橋市にある精神科の可知記念病院です。
今回のブログは薬剤部が担当します。
マイコプラズマ細菌に対する薬の種類について
今年の夏、8年ぶりにマイコプラズマ肺炎が子供を中心に大流行しているとニュースがありました。
マイコプラズマ肺炎は潜伏期間が2~3週間と長く、初期症状も普通の風邪と同じようなこともあり感染に気付きにくく、発熱などの全身症状が改善した後にも咳が長く続き(一か月程度)、医療機関へ受診して感染が発覚したという話をよく聞きます。
感染力はそれほど強くはないのですが、保育園や学校など集団生活の場で感染が広がりやすく、潜伏期間も長いことから知らないうちに感染が広がっていることがあります。
一般的なウイルス性の風邪と違い、マイコプラズマは細菌(単細胞生物)のため抗生剤での治療が有効となります。
しかしマイコプラズマは他の細菌には必ずある“細胞壁”という細胞の周りを覆う壁が存在しない特殊な細菌になります。その為細胞壁の合成を阻害するペニシリン系やセフェム系などの一部の抗生剤は効果がなく、それ以外の抗生剤が選択されます。
よく使われるものとしては細胞内のタンパク質の合成を阻害するマクロライド系のクラリスやジスロマックがあります。しかしこれらはよく使われる反面、耐性菌も問題となっており効果が不十分な場合には同じく蛋白質の合成を阻害するテトラサイクリン系やDNA・RNAの合成を阻害するニューキノロン系の抗生剤が使われます。