豊橋市の精神科の可知記念病院です。
本日のブログはリハビリテーション科が担当いたします。

水分にとろみをつける理由

皆さんは食事や水分を摂取した際にムセ込むことはありますか。若く健康な状態では食物や水分が肺に入ったり、入りそうになった時点で強くムセ込むことで肺炎等の重篤な疾患にならずに過ごすことができます。しかし高齢者や進行性の病気、脳の病気になることで飲み込みの機能が低下して、肺に食物や水分が入りやすくなったり、入った際にうまくムセ込んで出すことができないことで肺炎を引き起こすことがあります。とくに水分は飲み込みの機能が落ちた方には飲みづらいものになるため、当院では『とろみ剤』を使用して水分にフレンチドレッシング状・とんかつソース状・ケチャップ状程度のとろみを付けています。
なぜ水分が飲み込みづらくなるのでしょうか。喉仏に手を当ててツバを飲み込んで見て下さい。飲み込む際に喉仏が上がって下がります。喉仏が上がったときに胃に向かって水分が通っていきます。その時間は0.5秒以内と言われています。喉仏が上がるときに筋肉が引き上げているのですが、その筋力が弱まるとサラッとした水分では速度が間に合わず、胃ではなく肺の方向に流れてムセてしまいます。その速度を間に合わせるためにとろみをつけゆっくり入っていくように調整をしています。
肺炎を繰り返してしまうと全身の状態が弱ってしまい経口摂取をすることが難しくなってしまいます。肺炎にならず、できる限り食事を楽しめるようにしていきたいですね。