豊橋にある精神科の可知記念病院です。
今回のブログは薬剤部が担当します。
血管拡張作用のある薬剤成分について
今年は四年に一度の夏季オリンピックの年となりますが、そのこともあってか度々ドーピング問題をニュースで見かけます。
“ドーピング”というと筋肉増強剤などが思い浮かびますが、禁止となっている薬物はそれ以外にもあります。
少し前に『トリメタジジン』という薬物がニュースになっていました。この『トリメタジジン』は血管拡張作用があり狭心症などの治療に使われます。
血管を広げることで血流量が増加し持久力が上がることから運動後の回復も早まるため使用が禁止されています。
医療用医薬品であれば処方される際に医師や薬剤師に相談すればうっかりドーピングを未然に防ぐことも可能ではありますが、“市販薬”にもドーピングの対象となる成分が含まれているものもあり注意が必要です。
代表的なものとしては風邪薬に配合されていることがある『エフェドリン』です。エフェドリンは気管支を拡張させ呼吸をしやすくする効果があります。他にも血管を収縮させ血圧を上昇させるなど交感神経を興奮させる作用があり運動に対して有利に作用することから使用が禁止されています。
エフェドリンは他にも漢方薬の生薬成分『麻黄』や『半夏』にも含まれています。
『麻黄』は葛根湯や小青竜湯など。
『半夏』は半夏厚朴湯などに使われています。
※図は医療用の葛根湯になります