豊橋市の精神科の可知記念病院のブログです。
本日のブログは看護部が担当いたします。

金縛り

皆さんは金縛りを経験したことはありますか?自分も何回か経験したことがありますが、息苦しかったり枕元に誰かいると感じたり、とてつもなく怖いですよね…。そんな心霊現象とも思われる金縛りですが、実は「睡眠麻痺」という症状名がついています。今回は、金縛りが起こるメカニズムと金縛りの時に感じる症状について話していきたいと思います。

  • レム睡眠とノンレム睡眠

金縛りの話に行く前にレム睡眠とノンレム睡眠について話したいと思います。

この表の様に、レム睡眠は脳が起きていて体は寝ている状態、ノンレム睡眠は脳も体も寝ている状態であることが分かると思います。基本的に、睡眠開始時はノンレム睡眠から始まり次にレム睡眠と60~120分周期で交互に出現します。人間は、約6時間の睡眠の中で3~5個の夢を見ると言われていますが、そのほとんどがレム睡眠中に見るものでノンレム睡眠が来るたびに忘れてしまいます。
以上のことを踏まえて次に金縛りについて話していきます。

  • 金縛りとは

冒頭でも話したように金縛りには睡眠麻痺という症状です。15~20歳の若い世代に初めて経験する人が多く、人生の内で約30~40%の人が経験すると言われています。それがどうして起こるかなのですが、過度な身体的・精神的なストレスや、徹夜などの睡眠が安定してとれていないときに、本来ノンレム睡眠から始まる睡眠周期がレム睡眠からスタートしてしまったときに睡眠麻痺は起こります。

  • 金縛りが苦しく怖いのはなぜ?

金縛りに遭遇したことがある人は分かると思いますが、霊的なものがのしかかってきて動けず息苦しかったり、見えないはずのものが見えたり、耳元で足音が聞こえたりなど金縛り中は霊的現象だと思われるものを多く感じると思います。では1つ1つ解明していきましょう。

・体が動かない

レム睡眠中は体が休んでいる状態なので脳が指令を送ろうとも体は全く動きません。それを体が縛られていると感じます。

・息が苦しい

同じくレム睡眠中は筋肉に指令は出せないので意識的な深呼吸が出来ません。そのため恐怖状態も相まって息苦しさを感じます。

・霊的なものが見える

霊的なものがみえる、見えないはずのものがみえると感じるのは、夢を見ているためだと言われています。先述したように、レム睡眠中は夢を見ます。体が動かせない、息苦しいという体験に恐怖を感じ霊的なものを夢として見てしまっているのです。なので目を開けているつもりでも、第三者から見れば目を閉じ寝ているようにしか見えません。
どうでしたか?金縛りは霊的なものではなく医学的に説明が出来てしまうものなのです。なので霊的な何かが近くにいるなどと悩む必要はありません。もし、今後金縛りにあったときは、身体的・精神的ストレスをかかえているかも?睡眠時間がしっかりとれていなかったかも?と考えてみてください。