豊橋市の精神科の可知記念病院です。
本日のブログは医局が担当いたします。

双極性障害から双極症へ

精神科の診断基準のひとつにアメリカ精神医学会のDSMというものがあり、最新版はDSM-5-TRです。現在その日本語版が作成されており、bipolar disorderの日本語訳が、「双極性障害」から「双極症」に変わることが明らかになりました。“障害”という言葉に「害」の字が含まれることは他の病気でも指摘されており、「障がい」や「障碍」と書くべきだ、という意見があります。それを受けての「双極症」への病名変更です。

精神科では、2002年に「精神分裂病」が「統合失調症」に名称変更されており、それが記憶に残っている方々も多いかと思います。名称変更は、より病気の実体に近いものとすること、偏見を軽くすること、などの役割があるでしょう。それによって患者さんが少しでも生きやすくなるのであれば、それは歓迎すべきことです。しかしいっぽうで、病気そのものに対する治療は、特に精神科では行き詰まっている部分がとても大きいと思われます。統合失調症しかり、双極症しかり…。病態の解明を進めていくこと、そしてより有効な治療法を開発すること。それも重要であるのは論を俟たないでしょう。