豊橋市の精神科の可知記念病院です。
本日のブログは医局が担当いたします。

withという気持ち

どの疾患でもそうですが、患者さんに対し “統合失調症の●●さん”という表現を医療者はついしてしまいます。これはクセモノで“●●さん=統合失調症”になりがちです。そして、患者さん自身もそのような言い方をしてしまいます。「私は統合失調症である」という表現ですね。英語表現では“patients with schizophrenia”となります。このwithが患者さんとschizophreniaという名詞との間に入ることで、疾患と距離が取れます。あくまでも“統合失調症という疾患を持った患者さん”なのです。withという表現には外在化のテクニックがすでに練り込まれているのが見えてきます。
そこには疾患を見る目線と患者さんを見る目線の両方が含まれているのです。よく「病気じゃなくて人をみろ」と言われますが、個人的には「いや、病気もしっかり診ましょう」と思います。両方みるのが当たり前で、もうちょっと言うのであれば、病気をみる時に人をみるようにしていてはいけませんし、人をみる時に病気をみるようにしてもいけません。
病気:医療者がプロ。得られている知見に則って冷静に対処する
人:その人がプロ 。医療者は、その人がどう “生き抜いて” きたかに思いを巡らす
“人 with 疾患” は、その両方に目配りが出来ている表現だと思います。医療者は両方の気持ちを忘れずにいたいものですね。