豊橋市の精神科の可知記念病院です。
本日のブログは薬剤部が担当いたします。

インフルエンザ

当院でも予防接種が始まっているインフルエンザをテーマにしたいと思います。
インフルエンザはインフルエンザウイルスが起こす呼吸器感染症です。通常冬になり寒くなると流行しだします。インフルエンザウイルスはA型、B型、C型、D型に分けられます。主に人に流行するのはA型とB型です。微熱で鼻水や咳や痰など呼吸器症状を主とする普通の風邪と異なり、38℃以上の高熱や関節、筋肉の痛みなど全身症状が起こってきます。
予防接種が最も効果が高い予防法ですが、接種後2週間くらいから効果が出始めて約5か月間予防効果が持続します。通常は11月下旬から12月までに注射しておくことが理想です。このブログを読まれた方でまだ接種していない方は、早めに医療機関を受診して予防接種を受けましょう!
予防接種をしても普通の風邪には予防効果はありませんし、インフルエンザにかかることもあります。しかし、予防接種をしておくとインフルエンザにかかっても軽い症状ですみます。高齢者では予防接種をすることで80%も死亡率が下がるという報告もあるくらいです。成人の場合1回接種が主流です。2回接種した場合とあまり予防効果に有意差がないからです。
それからインフルエンザウイルスは乾燥と寒さを好む一方で、湿気に弱いので湿度を高くしておくことも予防対策になります。ここ数年は新型コロナウイルスが話題の中心で、インフルエンザは陰が薄かったように思います。実際インフルエンザにかかって病院を受診される方もかなり稀だったように思います。インフルエンザが流行しなかった理由の一つは手洗い、うがい、マスクなど感染対策が子供から大人まで当たり前になったことも一因かと思います。スーパーやらショップやらでもマスクをしていないと店内に入れてもらえない、なんてことはコロナ渦前には誰も想像できなかったことかと思います。人の表情が分かりにくいのは確かですが、マスクのおかげか女性は前のように化粧をしなくても気にされないとか、男性は無精ひげがごまかせるなんて話も耳にします。これから寒い季節はマスクも防寒グッズとして役立ちます。
インフルエンザはウイルスが原因ですから抗生物質は効果がありません。抗ウイルス薬がとてもよく効きます。抗ウイルス薬は経口剤だけでなく、点滴、吸入薬やドライシロップなどいろいろな剤型があります。一つ大事な点としてインフルエンザの解熱剤として使う非ステロイド抗炎症薬は、インフルエンザ脳症の増悪リスクが指摘されるため使用が制限されます。解熱剤として使用するならば、国際的に使用が推奨されているアセトアミノフェンになります。発熱は本人が苦しがらなければ免疫力を上げるので、それほど悪いことではありません。市販薬の中にもこれらの成分を含む薬がありますので、自己判断で使用せず医師の診察を受けるようにしましょう。