豊橋市の精神科の可知記念病院です。
今回は医局が担当します。
運動と抗うつ薬
重度ではないうつ病に対して
・運動
・抗うつ薬
・運動と抗うつ薬
これらの治療がどれも同等の効果であろうという論文がありました(Sports Med. 2022 Sep 16;bjsports-2022-105964. PMID: 36113975)。すべて対照群と比較して有意に改善を示しています。
運動が抗うつ薬と大きな差がなく有効であることは、いくら強調してもし過ぎにならないでしょう。ただ、抗うつ薬を明らかに上回るものではなく、かつ抗うつ薬治療と運動を併用しても改善度合いが変わるわけでもなさそうだということも覚えておいて良いかもしれません。期待しすぎてはダメ、ということですね。
注意点としては、運動は抗うつ薬治療よりも中断が多かったという点。やはり運動は皆さん途中でやめてしまいがちですね…。特にうつ病であれば身体が重くなり意欲も低下しがちなので、運動を続けるハードルは高くなってしまいます。
それでも、続けられればメリットになってくれることでしょう。抗うつ薬との併用は眼を見張るような効果ではないのですが、筋力を維持して身体の調子を整える役目はあるものと思われます。
身体を動かすとこころも動きます。できるところから少しずつ、継続ということを念頭に開始してみてはいかがでしょうか。