豊橋市の精神科の可知記念病院です。

LAI(持効性注射剤)について

本日のブログは薬剤部が担当いたします。テーマはLAI(持効性注射剤)です。
LAIとは、Long Acting Injectionの略で統合失調症の治療で用いられるお薬の効果が長く続く注射剤のことです。
統合失調症治療で大切なのは再発を予防することです。抗精神病薬の継続により統合失調症の再発リスクを低くすることが可能なため良好な服薬アドヒアランスを保ちながら抗精神病薬を継続していくことは最も重要なことです。
服薬アドヒアランスという言葉になじみがない方もいらっしゃると思いますので説明させていただくと、「患者自身が自身の病気を受け入れて医師の指示に従って積極的に薬を用いた治療を受けること」を意味します。
良好な服薬アドヒアランスを維持することは容易ではなく、統合失調症の服薬アドヒアランス不良率はおよそ50%程度と推定されています。
LAIは、高い治療継続性が示されており、症状が安定することで再発・再入院の予防効果ばかりでなく、良好な予後をもたらすことが知られています。
LAIは、数週間ごとに筋肉内に投与することで抗精神病薬の血漿中濃度を内服と同様のレベルでほぼ一定に保つことができる製剤です。
いわゆる第一世代デポ剤ハロマンス注やフルデカシン注の使用頻度は減っていて第二世代・第三世代LAIが主流になりつつあり、次回の注射までの期間は製剤によって異なりますが、2週間(リスパダールコンスタ筋注)、4週間(ゼプリオン水懸筋注、エビリファイ持続性水懸筋注)、12週間(ゼプリオンTRI水懸筋注)があります。
これらの薬剤には冷所保管と室温保管があるため薬剤部できちんと管理しています。
LAIのメリットとしては、飲み忘れや服薬の煩わしさがない、薬を飲む時間を気にしないで活動できる、人目を気にしなくて済むなどが挙げられます。
LAIのデメリットとしては、痛みを伴うこと、副作用発現時の調整が難しいことなどが挙げられます。
注射を含めた剤型を患者自身が選択できる時代です。LAI導入にあたっては、薬剤の忍容性を確認するために注射剤と同じ薬剤を含む内服剤の投与が必要です。
LAI治療を継続し、就労希望される患者も増加している印象があります。