豊橋市の精神科の可知記念病院です。
今回は医療相談室が担当します。

精神疾患・精神保健福祉の歴史(古代編①)

こんにちは。
精神科医療や精神保健福祉には長い歴史があります。時々この場所をお借りして、精神疾患や精神保健福祉の歴史についてお話していこうと思います。

最初は古代の話です。

古代ギリシャ・古代ローマなどの原始時代、精神疾患は“超自然的な影響“とされており、患者の一部は“預言者である”と考えられていました。
精神疾患自体は単なる病気ではなく、超自然的な力を宿したものとして畏怖の念で見られており、例えばてんかんは「morbus sacer(神聖な病)」と呼ばれていたようです。
精神疾患に関する歴史上の人物の言葉として
ソクラテス「ギリシャに置ける善の数々は狂気を通じてもたらされた」
アリストテレス「狂気を交えぬ偉大な魂などない」
プラトン「神々しい狂気」
…などの言葉が後世に伝えられています。

精神疾患が神聖視される一方で、哲学者の中には精神疾患を”魂の疾病”と定義する者もいたと言われています。

中世に入ると、ヨーロッパはキリスト教の時代になります。神とされる存在はイエス・キリストのみとされ、精神疾患を患った患者は「悪魔が乗り移った者」として迫害を受けていきます。
中世においては、自分の身に起こる不幸を“魔女の仕業である”として、身近な人を魔女と疑っては裁判にかけていました。いわゆる“魔女狩り”です。ここでいう“魔女”には男性も含みます。
魔女と疑いをかけられた者の多くは、精神疾患を抱えていたのではないかと言われています。
「魔女は針で刺しても痛みを感じない」とか、「剣で刺しても死なない」など、憶測のもとに拷問が頻繁に行われていたそうです。

明日のブログ『精神疾患・精神保健福祉の歴史(古代~中世編②)』へ続きます。