サイコセラピーの要因
今回のブログは医局が担当します。
サイコセラピーは簡単なものから重厚なものまで、多種多様。数百という種類があるそうです。このセラピーの要因で頻繁に紹介されるのが、以下の4つ(『Handbook of Psychotherapy Integration』)。
治療外要因
治療関係要因
期待・希望・プラセボ要因
モデルや技法要因
それぞれが治療成功の40%、30%、15%、15%を担っているとされます。この4つの中の“モデルや技法要因”というのがサイコセラピーの種類に該当するのですが、「認知行動療法とか対人関係療法とか分析的精神療法とか色んな技法があるけれども、それが効果の15%しか占めていないの?」と思うかもしれません。しかし、このパーセンテージに科学的な根拠はまったくないということは、あまり知られていないのです。色々なところで紹介されて、いつの間にか“正しい数値”として根付いてしまったように思います。しかし、繰り返しですが根拠はまったくないので、これを真に受けて各技法を軽視してしまわないように。ただ、このように要因を4つに整理してわかりやすくしてくれたことは良かったかもしれませんね。以下に少しこれらについて説明しておきます。
治療外要因は、患者さんと環境を指します。“患者さんの強さやリソース、苦しんでいた期間、社会的援助、生活環境、その人生を綾なす偶然の出来事などの全体的な生活基盤が重要”とのこと。
治療関係要因は、患者さんと治療者の共同によって生まれるもの。”最も援助的な同盟は、治療者が、共感や誠実さや尊敬についての患者さんなりの定義にあった治療関係を築いた時に発達する”のです。
期待、希望、プラセボ要因は言わずもがなですが、これらがあると、治療を受けようと決めることで、患者さんが体験する改善の一部分にブーストがかかるようになります。これは楽観主義とは異なり、“希望があるというのは、患者さんの現在の苦労と同時に、もっと良い未来への可能性の両方を認めた結果として生じてくる”のです。
モデルや技法要因は、サイコセラピーのテクニックやモデルの違い。“他の共通要因の効果を高めていくための媒介役を果たす”ようになることが大切、とも言われます。
これら4つを意識しながら治療に当たることが大切なのです。