豊橋市の精神科可知記念病院です。
今回はリハビリテーション室が担当します。

精神科作業療法(OT)について

精神科治療のひとつとして作業療法があります。今回は精神科作業療法について紹介をしたいと
思います。
精神科作業療法(Occupational Therapy:OT)
精神障がいの作業療法は、精神疾患により生活に障がいをもった方々に対し、個別あるいは他の人たちとの関わりや、具体的・現実的な作業活動(遊び、創作的なものから日常生活に関連するものまで)を利用し、精神機能の向上、対人関係能力の改善、作業能力の改善などをはかり、その人にとってのより良い生活が送れるように指導、援助を行っていきます。

■対象疾患

統合失調症、気分障害、神経症、広汎性発達障害、パーソナリティ障害、依存症(アルコール、薬物)認知症、その他疾患

精神科作業療法の目的

1.症状安定に向けての援助 ・気分転換 ・欲求充足 ・情動の安定 ・思考、行動の調整 ・健康な機能を促進
*幻聴や妄想などの症状があることで、日常生活を送っていくことが困難となっており、幻聴・妄想の世界から切り離して現実の世界へ戻ってもらうことも大切になってきます。

2.対人関係の改善
・患者の心の葛藤を理解し、治療者との関係をもとに、他者とより良く交流していけるような体験の場を作ります。
*自分の世界に閉じこもっている事が多く、対人関係・交流が難しい方もおられます。

3.基本的な日常生活への援助
・疾患による、不規則になった生活(昼夜逆転等)の修正を図る。
・必要な生活技術の獲得を目指します。

4.社会生活への援助
・主体的な生活を目指し、より良い社会生活が営めるように援助を行っています。
*退院に向けての援助、社会における必要な技術を学びます。

作業療法の効果

・定期的に決められた時間に活動に参加することで⇒生活のリズムを整える。
・日中に程よく活動する事で⇒夜ぐっすりと眠れる。
・活動の場、作業を媒介として、他者と交流する事で⇒コミュニケーションの練習になる。
・完成した作品を他者から認められる事で⇒満足感・達成感を得る。
・興味のある活動を行うことで⇒気分転換やストレスの発散になる。
・活動を通して、自分のできる事をみつけていく⇒自信回復や自己効力感の獲得をする。

作業療法を通して、様々な効果が期待できます。

■作業活動の種目

・創作的、表現的活動⇒作品を作り出す活動
絵画、書道、手工芸、木工、革細工、切り絵、籐細工、陶芸など

・余暇的活動(遊び、趣味、スポーツ)⇒発散、気晴らし、楽しみ活動
オセロ、将棋、ゲーム、球技、ゲートボール、散歩、健康体操、音楽、ハイキング、レクリエーションなど

・日常生活活動⇒日常生活で必要な動作の訓練
料理、買物、洗濯、掃除、公共交通機関公共施設の利用体験など

当院では、各目的に合わせて作業活動が下記の実施場所等で行われております。

その他にも屋外でスポーツができるグラウンドや、農作物を育ている農園もあります。

今回は精神科作業療法についてお話をさせて頂きました。過去のブログでもプログラムの詳細などを紹介していますので是非ご覧ください。